教育雑記帳

2013年早生まれ男子のママ。英語教育、理数教育、親の観点から読むビジネス書についてゆるく書いています。

【おかねの教育】子どもが億万長者になるワクワク起業物語

 息子が保育園に通っていた頃、保育園で「お店やさんごっこ」のイベントがありました。それをきっかけに、ある時期、パパとママを相手に息子が週末ごとに「カフェ」を開いていました。保育園でのおもちゃのお金を使うごっこ遊びと異なり、実際に自分のお小遣いでパパやママが好きな飲み物やお菓子を近所のスーパーから仕入れ、自分の儲けを乗せた絶妙な値付けで商売をするので、我が子ながら舌を巻いた覚えがあります。

 人が欲しがるものを売って喜ばれ、自分も儲かって楽しい、という意識が息子に芽生え、商売に興味を持った時に、親の私が読んだ本を紹介します。内容的には、企業活動の大部分をカバーしていて素晴らしいのですが、小学校高学年以上でなければ理解が難しいそう(飽きそう)なので、小1の息子には読み聞かせていません。(息子にはレモネードの絵本は読み聞かせました)

 

『歯みがきつくって億万長者 ー やさしくわかる経済の本』ジーン=メリル著、岡本さゆり・訳、平野恵理子・絵  偕成社 (1997/6/1)

 

おすすめ度: ★★★★★

対   象: 親&子ども、(小中高)

 

 <経済が学べる小学中上級向きの児童外国文学の古典>と聞き、手に取った本です。

物語は、母親からスーパーでの買い物を頼まれた12歳の男の子が、「市販の歯みがきが高すぎる」と、クラスメートの女の子と歯みがきを自宅で手作りするところから始まります。「喜ばれるから」と、ご近所に売り歩く小さなビジネスは、地元のテレビ番組出演がきっかけで、注文殺到し家内工業では間に合わなくなります。そこで、規模拡張のために閉鎖された製造工場を機械ごと買い取り、機械保守の大人も雇います。やがてテレビCMを流し、商圏がアメリカ全土へと広がっていき、創業した子供達は億万長者になる、というサクセスストーリーが爽快で楽しい。

 

 ワクワクする物語の中に、市場の見方(売れるのは歯みがきかアイシャドウか?、歯みがきはアメリカで年間どのくらい売れ、儲けが出るか?など)、原価計算、広告宣伝、株式会社の仕組み(株式発行、配当の仕組み、思い通りの会社運営のためには株の過半数を握ってろ、というアドバイスまで)、銀行からの借り入れ、市場競争(価格戦争)やカルテルまで、商売の全体像がリアルに描かれています。

 

 主人公の小学校では「算数」の授業がいつの間にか「歯みがき1」と呼ばれるようになり、出される問題は歯みがきに関することで、クラスの子どもたちが一生懸命に勉強するようになった、という運びも微笑ましい。きっと、学校の算数が嫌いでも商売の話が好きな子なら、目を輝かせて勉強するようになるのでは?

 

 初版は1972年の発売で、アメリカにおける人種問題や男女平等についても触れられています。子供向けの物語の中に、これだけ多くの要素を織り交ぜて、かつ楽しく読ませる作者の技量に舌を巻いてしまいます。

 

 子供がある程度大きくなっていても、ぜひ親子で内容について話し合ったり考えてみたい本だと強く思いました。