教育雑記帳

2013年早生まれ男子のママ。英語教育、理数教育、親の観点から読むビジネス書についてゆるく書いています。

【英語学習】「楽しい子ども英語」から多読へ

子どもの成長は早い。

いつの間にか小学生になった我が子の英語教育に本腰を入れるにあたり、色々な本を手当たり次第、読んでいる。今回は、早稲田アカデミー関連の英語塾の先生が買いた本。

我が家のように、

  1. 小学校低学年から英語教育に取り組む(幼少期の英語は身についていない)
  2. 英語を英語として理解してほしい
  3. 子どもの英検受検に興味あるが、上記2.と矛盾を起こさないか疑問がある

という方には、ヒントになりそう。

 

『楽しい「子ども英語」はなぜ身に付かないの?』

松井義明・著/ポプラ社(2018/5/22)

 

 

 

本書を読んだ感想と備忘録

1. 総評 ★★★★☆

「おわりに」まで入れても全126ページと薄く、コンパクト。手軽にさっと読める。

このうち、20ページほどが著者の所属する塾の宣伝を兼ねた内容となっているので、情報量としては、決して多くはない。しかし、すでに幼児期を過ぎた子どもの英語学習について、試行錯誤をしている身としては、励まされ、参考になった箇所もあった。

 

2. 本書を手に取った理由

息子は、手遊びや歌を楽しむというのは、とっくに卒業してしまった。英語のBGMをかけ流しすると、「日本語で考えていることが邪魔される」と言って嫌がる。そんな年齢の子どもに、どうすれば、嫌がられることなく、長続きできるように英語を教えられるか、ヒントを得たかった。

 

3. 使える英語を身につけさせるための目標

教育目標は、「たくさん聞くけど、もっともっと読む」。

最初は「英語を聞く力」を育てつつ、それを引き継ぐ形で「英語を英語で、読む力」を獲得させる。英語の本を思いっきり読める環境を用意する。

 

著者は、サイレントピリオドについても触れている。言葉を習い始めると、ひたすら言葉を頭の中に蓄積する期間が必要。赤ちゃんと同じ。それぞれのペースがあり、ある日、突然、堰を切ったように話し始める。それまではしゃべることを要求しない。無理強いしない。ひたすら待つ。

 

4. 著者のすすめる多読までのプロセス

我が家ですでに実践しているものもあるが、改めて、進め方を確認。

著者のすすめる多読に至るまでのステップは、フォニックス→音声付き絵本→多読の3ステップ。

Step 1. フォニックス

フォニックスが大事な理由は、「文字」というものは、自分で音にできるものだけが頭に入り、記憶に残るから。なので、まず音に出して読める状態を作ることが先決で、そのためのツールがフォニックス。著者の教室では『Sounds Great』(全5巻、Compass Publishing社刊)を使用している。

 

(1) それぞれの文字には音がある

英語の文字(アルファベット)は、ひらがな50音と異なり、文字の名前(エイ、ビー、スィ)とは別の音(ア、ブ、ク)を持っていることを知る必要がある。まずは26文字がスムーズに発音できることを目指す。

 

(2) 3文字単語への挑戦

母音を真ん中にして両側を子音で挟んだ単語を読めるようにする。

母音には5種類(a, i, u, e, o )しかないので、順番にパターン化して覚えていく。

目標は「すらすら読めること」なので、それまでは焦って次に行こうとしないこと。

 

(3) マジックe と4文字単語

 マジックe / サイレントe をマスターする。上記(2)と同様に、すらすら読めることを目標とする。ここまでいけば、「フォニックスの土台」が完成。英検5級の受験を考えられる。

 

(4) 子音字の連続

上記(3)まではフォニックスの「幹」で、これ以降は「枝葉」部分。bl, st, など子音の文字がつながったらどういう音になるか、をマスター。

 

(5)  母音字の連続

子音に続いて、母音の文字がつながったらどういう音か、をマスター。

同じ「oo」でも、moon(長母音)と book(短母音)がある、などの違いは一つずつマスターしていく。

 

フォニックスでの目標は、「ひらがなと同じように読める」こと。最初は意味がわからなくても、まずは読めることを目標にする。

 

意味を理解して単語を暗記することよりも、まずは「読める」ようにすることについて、著者の言葉を引用(p.56)

たとえば、「ひらがな五十音」を読めるようになったばかりのお子さんが「に・ん・げ・ん・ば・ん・じ・さ・い・お・う・が・う・ま」とゆっくり読めるとしても、「人間万事塞翁が馬」の意味がわかるはずはありません。それと同じです。慣れてきたら、意味を知りたくなるでしょう。そのために、まず、読めるようにすること。それが出発点です。

 

ある程度フォニックスを身につけて読めるようになると、ピクチャーディクショナリーを活用する。「単語を覚える」よりも、身につけたフォニックスの知識を動員し、「読める」、「音声化できる」実感と心地よさを感じさせてあげる。 具体的な進め方は「選択」と「音読」の2通り。

選択:親が単語を読み上げ、子どもにその単語を指差しさせる。

音読:親が文字(単語)を指差し、子どもに音読させる。

 

このときに、日本語の意味を知りたがれば、教えてOK。ただし、絶対にNGなのは「子どもに日本語訳を言わせる」こと。

 

Step 2. 音声付き絵本の活用

本書では、読書のスタートは Oxford Reading Tree の一押しとなっている。

10段階にレベル分けされているが、英検のレベルへの対応はおおざっぱに次の通り。

Stage 3 = 英検5級レベル

Stage 6 = 英検4級レベル

Stage 9 = 英検3級レベル

 

我が家はほかの英語絵本を持っているので、ORTを別途購入する予定はないが、書店でも確認し、よさそうな教材、という印象。

 

具体的な取り組み方として、次の6通りあるが、子どもが好きなようにすればよい。

  1. CDは聞かず黙読
  2. CDは聞かず音読
  3. CDを聞きながら黙読
  4. CDを聞きながら音読
  5. 文字は見ないで、ただCDを聞く
  6. 親が読み聞かせながら黙読

急いでレベルを上げないこと。本人が自分でステージを上げたり下げたりしながら進んでいくのに任せてOK。今の息子の日本語の読書もそう。高学年向けの本を読んだかと思えば、保育園時代の絵本を取り出して読むこともある。子どものペースで進める。

 

英語の読み聞かせは、ぜひするべき。親が自分の発音を気にする必要はない。子どもの方から”ダメ出し”を食らうまで、安心して読み聞かせをする。

 

Step 3. 多読 

ORT を使った読書が軌道に乗り、それ以外の本にも関心が出てきたら次の段階に挑戦。ここでは、本人が楽しめるレベルに応じて読書を楽しませることを心がける。

  • 同じ本ばかり読む:毎回何か新しい気づきを得ているのかもしれない
  • 簡単な本を読む:簡単な本を、速く大量に読むことで英語脳を育成している。

 

5. 英語脳が育つ英検の受け方

英検は合格が目標ではなく、子ども自身が、自分の到達度を確認して達成感を得るためのもの、と考えている。息子が英検の受験を考えるのは、まだ先だと思うので、こちらはざっと読んで飛ばした。ポイントは、無理にやらせて間違えさせても自信を失うだけなので、最初の段階ではインプットに終始すること。

 

<5〜4級> 過去問をインプット素材として活用

フォニックスを学んでいることが大前提。

5級は『Sounds Great 』Book 3 まで、4級はBook 5まで終えておく。

いきなり過去問を見ながら、最初に正解を教える。そのうえで、最初に親が数回読んであげて、その後、親子でロールプレイの要領で英文を交互に読み合う。

これを1日に3つほど、各3〜5分、合計10〜15分程度、1週間で15セット。

このとき、混乱を避けるために正解以外の選択肢については触れないでおく。

 

ほかに、「並べ替え問題はカード遊びで」、「リスニングは折れ線グラフ3本法」でという解説もある。

 

そのほかの参考情報

<英英辞書> 

Longman Dictionaries Online USA http://longmandictionariesusa.com/

Longman は非英語ネイティブ用の辞書で、定義が基本後2000語程度の語彙で説明をしている。初心者におすすめは 『Longman Study Dictionary of American English(4万6000語収録)』のオンライン版。「見出し語」だけでなく、「例文」にも音声が収録されているものは、ほとんどない。英検3級レベルまではこの辞書で間に合う。

準2級〜2級に挑戦する場合:『Dictionary of American English(10万9000語収録)』

準1級〜1級に挑戦する場合:『Advanced American Dictionary(20万5000語収録)』

 

<英和辞典>

親のツールとしての英和辞典でおすすめは『アンカーコズミカ英和辞典』(学習研究社

例文で同義語(like と be fond of、will と be going to、must と have to など)の説明がうまくなされている。

 

<多読のためのブックガイド>

英語多読完全ブックガイド [改訂第4版] 』古川昭夫ほか(著)、コスモピア刊

『ミステリではじめる英語100万語』酒井邦秀・佐藤まりあ(著)、コスモピア刊

 『ジャンル別 洋書ベスト500』渡辺由佳里(著)、コスモピア刊

 

<著者によるおすすめ英語本ブックガイド>

英検5〜4級レベルは、親子で一緒に読み、親の読書感想を語りながら「文字」と「音声」を結び付けていく。

3級レベルになると、ペーパーバックにチャレンジできる段階。

 

英検5級レベル

"Good Night, Gorilla" by Pegy Rathmann

"I Love My Daddy" by Sebastien Braun

"An Elephant & Piggie: Can I Play Too?" by Mo Willems  ★漫画チック。興味あり。

"Biscuit: Biscuit Goes to School" by Alyssa Satin Capucilli (CD付)

 

英検4級レベル

"Miss Nelson is Missing" by Harry G. Allard

"Clifford"シリーズ by Norman Bridwell

"Read Listen & Wonder" シリーズ ★動物の不思議に関する絵本。興味あり。

 

英検3級レベル

"Ricky Ricotta's Mighty Robot" シリーズ by Dav Pilkey ★冒険もの

"Nate the Great" シリーズ by Marjories Weinman Sharmat (CD付) ★ミステリー

"Rainbow Magic: Ruby the Red Fairy" by Daisy Meadows ★ファンタジー

 

英検準2級

"Magic Tree House: Dinosaurs Before Dark" by Mary Pope Osborne ★冒険もの

"Diary of a Wimpy Kid" シリーズ by Jeff Kinney ★学園もの

" The A to Z Mysteries" シリーズ The Absent Author by Ron Roy ★ミステリー

 

英検2級レベル

Roald Dahl の作品

  "Charile and the Chocolate Factory" / "Matilda" / "Fantastic Mr. Fox" / "The Witches" など

Louis Sachar の作品 

  "Holes" / "Marvin Redpost" / "Alone in His Teacher's House" など

"Percy Jackson and the Olympians" シリーズ by Rick Riordan

"The Giver" by Lois Lowry

 

まとめ

幸い、息子は大の読書好きである。だから、英語についても、単語力を鍛えて、最初は一緒に絵本を読む、ということさえやれば、そのうち、日本語の本を読み始めたときのように、自分一人で読めるようになるのではないか?それまでの頑張りだ、と思えるようになった。