教育雑記帳

2013年早生まれ男子のママ。英語教育、理数教育、親の観点から読むビジネス書についてゆるく書いています。

浮世絵と伊藤若冲〜息子が最近ハマっているもの

子どもというのは、全く面白い。

思わぬ方向から何かに興味を示し、ものすごいスピードでハマっていく。

つい先日までロボットにハマり、図書館中のロボット図鑑を眺め、興味を持ったロボットについてはYoutube で動画を探しまくっていた息子。

 

www.perrito-blog.com

 

それが、今は浮世絵にハマっていて、びっくり!

図録や画集を眺めるだけでは飽き足らず、浮世絵を模写してみたり、オリジナル(?)の浮世絵の下絵を描いている。浮世絵グッズ(クリアフォルダやTシャツ)を集め、先生に自分の描いた浮世絵をプレゼントしたり(笑)

 

f:id:perrito-blog:20200909091254j:plain

↑ 息子の”秘密基地”は浮世絵だらけ(浮世絵好きゴッホも)。左上はカルビーのポテチ袋に印刷された北斎


浮世絵と接点を持ったきっかけは、永谷園のお茶漬けに入っていた「東海道五拾三次」の浮世絵カード。そこから、本物を見てみたい、ということで今年1月に江戸東京博物館の大浮世絵展に行き、図録も欲しいというので、買った。すぐに飽きるだろう、という予想通り、そのまま図録は忘れ去られた(図録は高かったのに、と心で泣いた)。

 

そして、半年が経った1学期の終わり頃、コロナの影響で学校の図書室を使えなくなったため、「朝の読書の時間」は自宅にある本を持ってきて読むことになった。息子は、自分の蔵書(児童書)は、何度も読んで飽きたので持っていくものがない、とボヤキながら家中を探して見つけたのが例の大浮世絵展の図録。

f:id:perrito-blog:20200909092541j:plain

大判で厚さも3cmを超える重いものを、教科書類と一緒にランドセルに詰め込んで、足元をフラつかせながら登校したが、図録は浮世絵への興味を再び掻き立てたらしい。帰宅すると、自分の模写絵を大量に見せてくれた。

 

浮世絵には、いわゆる”芸術性が高い”ものもあるが、一方で、北斎漫画のふざけた絵や歌川国芳の猫擬人化シリーズ、寄せ絵やガシャドクロなど、面白くて変なモノが大好きな子どもが楽しめる作品もたくさんある。だから、ハマったんだろうな、と思う。

 

f:id:perrito-blog:20200909095853p:plain

 ↑ 北斎漫画の変顔シリーズ

 

夏休み中は、すみだ北斎美術館にも足を運び、北斎の伝記を読み、たっぷりと北斎の世界を楽しんだ。すみだ北斎美術館では、カルビーとコラボしたという北斎の「富嶽三十六景 神奈川沖浪裏」の浮世絵が外袋にプリントされたポテトチップスをいただいたが、息子はその袋も丁寧に洗って自分の”秘密基地”に飾っている(笑)

 

2学期になった今も、浮世絵には引き続きハマっているが、浮世絵の画集を見るために立ち寄った書店で発見した伊藤若冲に感動し、そこから日本画の世界に興味が向かい始めた。

ちなみに、若冲は人気が高いため、様々な画集が出ているが、私のオススメは『若冲原寸美術館100% jakuchu!』。収蔵作品は「動植綵絵」30幅のみだが、それでも、原寸で若冲の微細な筆遣いを見て楽しめるのは素晴らしい。美術館で本物を見るのも良いが、作品に思いっきり接近して細かい筆跡を確かめることは、ほぼ不可能。この画集であれば、いつでも好きな時にその筆遣いの細かさを堪能できる。

 

 

 

担任の先生も、浮世絵や日本画が好きな方のようで、教室には先生の個人的な蔵書である酒井芳一の画集を置いてあるらしい。息子はそれをよく眺めているらしく、ある日「風神雷神を知っている?」と聞かれ、一緒に俵屋宗達尾形光琳も合わせた三者三様の「風神雷神」を見比べたりしている。(息子に聞かれるまで、風神雷神屏風図に3種類もあったなんて、知らなかったよ。。。)

 

 「風神雷神図屏風」上から俵屋宗達尾形光琳酒井抱一

 

私自身、浮世絵から伊藤若冲までは学生時代から好きで、それなりに美術展や画集で見知っているが、それ以外は「学生時代に歴史の授業で暗記した名前」でしか記憶にない。息子が興味を持ってくれたお陰で、私も新たな世界を知ることができて楽しいと思う毎日だ。

 

浮世絵に限らずだが、息子を見ていてつくづく思うのは、「子どもには理解できないだろう」「子どもは興味を示さないだろう」という大人の勝手な思い込みは、子どもにとって害毒にしかならない。特にアートや音楽、物語などに接すると、子どもの瑞々しい感性で、それをあるがままに見つめ、受け取り、心を育てているように見えるのだ。

 

また、子どもがある物事にハマって、あっという間にその熱が冷めても、また思わぬキッカケから戻ってきたりするものだな、と感じる。だから、周囲の大人は拙速に子どもが何に情熱を燃やすか、飽きたか、など、判断せずに、子どものペースに付き合う必要があるんだな、と感じる。私が大浮世絵展の図録を「もう飽きただろうから」とさっさとメルカリで売り飛ばしていたら、息子も浮世絵や日本画に目を向けることがなかっただろう(あっても、だいぶ遅くなっただろう)と思う。

 

親を含め周囲の大人は、子どものペースを大切にしながら、些細な心の変化や目の輝きを見逃さず、タイミング良く子どもの世界を広げてあげるサポートに労を惜しんではいけないな、と考える日々。ま、時間と心の余裕がないと、なかなか出来ませんが(汗)

【家庭教育】『すべての子どもは天才になれる、親の行動で』〜「子育ては親の責任」を噛み締める

息子の通う小学校、夏休みは3週間で終了し、2学期が始まって2週間が過ぎた。

猛暑は続いているけれど、ボヤボヤしているうちにあっという間に秋がやってくる。

子どもも、あっという間に大きくなってしまうので、今、この時期に親として子どもにしてあげられることはなんだろう?と問う時間を惜しまないようにしている。

で、タイトルにドキッとさせられたこちらの本。

別に我が子に「天才」になってもらいたいわけではないけれど、自分の人生を堂々と生きていってほしい、そのための普遍的な力をつけてほしい、そう願って手に取った。

親としても、習い事や、それを始めるタイミングなども含めて、周囲の幼児教育ブームなど雰囲気に流されることなくやるべきだ(だった)、ということを改めて考えさせられた。

 

『すべての子どもは天才になれる、親の行動で』

船津徹・著/ダイヤモンド社(2018/12/12)

 

すべての子どもは天才になれる、親(あなた)の行動で。

すべての子どもは天才になれる、親(あなた)の行動で。

  • 作者:Toru Funatsu
  • 発売日: 2018/12/13
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

 

 

1. 総評★★★★☆

キーワードを抜き出すと、ほかでも読んだり聞いたことがある内容が多い。ただし、主張やその根拠が、具体的に説明されていたり、明確に言語化されていて(p.28「16のよい習慣」、p.42「エリク・エリクソンのライフサイクル理論」、p.60「習い事は10年続ける」など)、漠然とした一般論の繰り返しが目に付く類書やブログ記事よりも、はるかに説得力が高かった。

 

特に習い事については、娘を公立学校からハーバード大学に合格させた廣津留さんと主張が重なる。習い事などの課外活動も、100%の努力を傾けるように励ますことが、「あきらめない力」を育み、自分のアイデンティティ確立につながる、という主張は目から鱗だった。日本では、習い事といえば、片手間というか、趣味程度で考えられているけれど、米国のアイビーリーグに合格する学生は、「文武両道」レベルどころか、勉学も課外活動(スポーツ、アート、ボランティア等)も地区や全国トップレベルだという。

全てを完璧に実行しようと思うと、親としては疲れそうだが、まずはやれるところから少しずつ着手し、意識していこうと思う。折に触れて思い出せるよう、これらの具体的な主張や根拠を備忘録として残そうと思った。

 

また、個人的には自分自身の生き方についても振り返るきっかけになった。最近、マンネリ感を抱いて、ただなんとなく日々を過ごしている自分に薄々と気づいていたが、「無意識の行動を意識的に変える!」「100%の力で努力をする!」の言葉に触れ、今の自分に喝を入れなければ、という気持ちになった。

 

2. 本書を手に取った理由

兄弟の子ども(甥や姪)があっという間に大きくなるのを目の当たりすると、我が子の貴重な子どもの時期に、親としてやっておくべきことを、改めて意識して毎日を過ごす必要があると痛感した。

ここまでの親としての我が身を振り返ると、「子育ては親の責任」というのは、自明のこととして日々過ごしていたが、自分は、本当にその意味するところをわかっているだろうか?保育園・小学校や習い事教室への丸投げをしていないだろうか?もっと意識してやれること、やるべきことがあるのではないか?との思いに至った。

 

3. 優秀な子が育つ家庭で行われる3つの柱と、それらの身につけ方

 <よい習慣>

子どもの人間性を作るベースになる行動習慣。性格やメンタリティ、やる気なども含めた人間性は、よい習慣によって作られていく。

親は、子どもに人生哲学や大枠の方針(学問は大切、スポーツをするべき、など)、守るべきルールを伝えるが、具体的にどうするかは本人に選ばせ、親はその選択をサポートする。子どもの興味を「特性(強み)」に発展させ、よりレベルの高いものに変換していく。(例:ゲームを何時間もするなら、「集中力」に焦点をあて、より集中力を伸ばすための習い事を勧める。たとえば、プログラミングを学ばせて「ゲームで遊ぶ」から「ゲームを作る」という体験をさせる)

 

習い事について

子どもの特性(強み)を発揮できる「習い事」を通じて、習慣力・勤勉性を身につけさせる。最も大切なのは、小中、できれば高校時代も通して10年以上継続すること。やり抜くことで、成功体験を積み、自分に自信を持てる。様々な習い事を取っ替え引っ替えでは「失敗経験」を積み重ねただけになりかねないので、特性に合っているか、見極めが重要。また、発表会や大会などで競争をさせることが極めて重要。場数を踏んで本番に強くなる力を育てる。ただし、結果は二の次で、自分の力を出し切ることに価値がある。競争においては、手の届く範囲内でのレベルで行うことが理想。また、コーチ任せではなく、親がサポートすることが重要。

 

衝動をコントロールする教育

衝動をコントロールするとは、自分の中に湧き上がってくる感情の変化に気づき、それを上手にコントロールすること。自分を律する習慣。大人でも身に付けるのが難しいからこそ、早くから身に付けることが大きなアドバンテージとなる。1、2度では身につかないので、何度も言い聞かせて習慣化させる。

今やるべきことに集中できずに他のことに心が奪われると、人生が前に進まない。衝動性には以下の4つのタイプがある。

  • 切迫感:何でも今すぐやらないと気が済まない
  • 計画性の欠如:考えたり計画したりせずに行動する
  • 忍耐性の欠如:長い時間がかかるタスクをすぐに諦める
  • 刺激・快感の追求:刺激や快感が得られることばかりやろうとする

衝動をコントロールする習慣を身に付ける方法には、以下の3つがある。

  1. 衝動の存在を気づかせる:宿題をせずにゲームをする理由は?面倒だから?宿題が難しいから?ゲームを早く攻略したいから?理由を意識させ、支援すべきところは支援する。親子でルールを決める。
  2. 衝動をコントロールする意味を説明する:衝動が起きることは誰にでもある、当たり前のことだが、振り回されないようにする。衝動で行動すると他者や自分にどんな影響を与えるのか考えることを教える。
  3. 衝動をコントロールする方法を教える:「衝動が怒ったらゆっくり深呼吸」など、感情を落ち着かせる方法と伝える。その後、冷静に考えてから行動するように言い聞かせる。

 

 無意識の行動を、意識的な行動に変えていく

人生は「選択」の連続。早起きも、運動も、読書も、怠けることも、無意識のうちに選んでいること。「自分の行動は自分で選択している」ことを子どもに意識させるには、親が子どもに指示して何かをさせるのではなく、やるべきこと・やりたいことに優先順位をつけることを教える。そして、「自分で決めていいよ(親は守ってあげるから、しっかり挑戦していいよ)」「あなたならできる」のスタンスを守ること。人の意見や目先の利益に流されるのではなく、自分の考えを信じていくことで、悔いのない人生を歩める。

 

忙しくさせることで、自己マネジメント力が身に付く

有り余ったエネルギーは、課外活動に向ける。子どもは暇になると時間とエネルギーが有り余って、ただ時間を潰すための無意味な行動が増える。習い事以外にも、家族で出かけたり地域のイベントに出てみるなど積極的に外に出かける習慣を作ることで、子どもの時間管理力、自己管理力を覚えさせる。

 

<思考力>

誘惑の多い世の中で、子どもがよりよい道を選んでいくために欠かせない能力。特に、周囲に惑わされずに物事の本質を見抜く思考(クリティカルシンキング)と、柔軟な思考を可能にする地頭力が二大要素。この能力を身に付けるトレーニングを行う。

 

社会が大きく変化していく中でも、決して悲観せず、むしろ新たなチャンスを見出し、仕事を生み出していく、そんな発想を可能にするためには、自分の頭で考えられる思考力が欠かせない。

何よりも、進学先や仕事選びなど、重要な選択で後悔しないために、絶対に必要不可欠なもの。判断に迷ったときに「みんなと同じ」「誰かが言っていたから」と安易な理由で決めるのではなく、選択の質を高めるためのもの。正解のない人生で、「自分が納得できる解」を出す訓練が自分らしい人生を送るための方法。

親が自身のバイアスに打ち勝ち、情報に振り回されず、「こういう子どもに育てる」という信念を持って子どもと接していくこと。「自分の人生は自分で決めていいのだ」と子どもに繰り返し伝え、「何が起きてもあなたの味方、あなたを守るよ」と言葉と態度で伝える。

 

 思考力(クリティカルシンキング)を鍛える方法6つ
  1. 子どもに「なぜ?」と問い、自分の考えについて深く考える習慣を促す。
  2. YES/NOで答えられない質問をし、子どもの思考回路の言語化を促す。
  3. 日常の中で「何で?」を引き出し、わからないことは一緒に調べる(考える)。
  4. 子どもに小さな選択をさせる。小学中学年以上は家電や旅行など一緒に決める。
  5. 本を読むだけでなく、本を材料に問い(ツッコミ)をしていく。
  6. インターネット広告について考えさせ、情報を鵜呑みにしない習慣をつける。

 

ただし、「斜に構えすぎる」ようにならないよう、注意が必要。批判することを前提に情報に触れていると、結果として大切な情報を見落とすことになる。情報はニュートラルに受け入れるが、鵜呑みにせず、客観的・多面的に検討した上で、自分にとって最良の意思決定をすることを忘れないこと。 

 

伝える力の伸ばし方〜話す力

小学校高学年以上からは、その日のニュースや新聞記事などからトピックを見つけて、親子で「賛成」「反対」に分かれてディベートをしてみる。ポイントは、「賛成」「反対」両方の立場から議論できるようにすること。最初は子どもが選んだ立場で立論できるように練習するが、慣れてきたら、自分の考えとは反対の立場でも議論をさせてみる。

 

伝える力の伸ばし方〜書く力

思考力・論理力・語彙力・表現力が必要なエッセイは「5パラグラフエッセイ」で書く。最初に与えられた課題に対して自分が伝えたいこと、理由や根拠を3つ、結論、で構成されている。小さい子どもであれば、昔話を「最初」「真ん中」「最後」と物語の構成・段階を意識して口頭で再現させる。また、楽しいお題を与えて根拠を伴う文章を書かせる。

 

 <アイデンティティの確立>

自分はどう生きるかの指針をはっきりと決めていくための力。子どもは様々な経験の中で、自分は何者であり、どう生きたいかを明確にしていきます。このアイデンティティの確立こそが教育の最終目標であり、親はそのために子育てをしている、と言っても過言ではありません。

 目先の受験に踊らされて「学歴主義」に陥ると、子どもの本来の能力を潰すことになりかねない。本来、子どもがやりたいことを見つけるには、教科書から離れる必要がある。スポーツや音楽に真剣に取り組んだり、アートに触れたり、友達とぶつかり合ったり、文化や年齢んお異なる人と関わり合ったり、また、その中で失敗と成功を体験し、泣いたり笑ったり、悩んだり解決したりといった試行錯誤を繰り返すこと、そこから生まれた「強み(特性)」が必要。

 

<3つの柱の関係性:ピラミッド構造になっている>

      【アイデンティティ】  :ぶれない自分らしさ

     【 思  考  力  】 :人生の方向性を決定づける

    【  よ い 習 慣   】:根底にあるベース

 

4. その他、参考箇所を抜粋

「16のよい習慣」について

優秀な子どもは、何事にも一生懸命に打ち込み、手を抜かない。勉強も、課外活動も、恋愛も遊びも、自分のための努力を惜しまず、100%の力で打ち込むこと。このような資質を身に付けるための、「16のよい習慣(Habits of Mind)」(p.28):

カリフォルニア州立大学名誉教授のアーサー・コスタ博士が提唱)

  1. やり抜く習慣・・・あきらめない、やり続ける力
  2. 衝動をコントロールする習慣・・・行動する前に考える、落ち着く力
  3. 共感して聞く習慣・・・気遣う、集中する、注意深く聞く力
  4. 柔軟に考える習慣・・・別の可能性を考える、違う見方をする力
  5. 思考を思考する習慣・・・自分の思考の偏りに気づく、考え直す力
  6. 正確さを追求する習慣・・・念には念を入れる、洗練する力
  7. 疑問を持ち、問題定義する習慣・・・なぜ?どうして?根拠は?と問う力
  8. 知識や経験を活かす習慣・・・思い出し、応用する力
  9. 明晰に考え、伝える習慣・・・はっきり話す、言葉を選ぶ力
  10. 五感でデータを集める習慣・・・感じてみる、触れてみる、感性を活かす力
  11. 想像、創造、革新する習慣・・・ユニーク、独創的である力
  12. 世界の神秘と発見を楽しむ習慣・・・よく見る、夢中になる、とりこになる力
  13. チャレンジする習慣・・・リスクを冒す、勇敢である、冒険する力
  14. ユーモアを見つける習慣・・・肩の力を抜く、楽観的になる力
  15. 共に考える習慣・・・協力する、共に学ぶ、持ちつ持たれつの関係を作る力
  16. 常に学び続ける習慣・・・変わり続ける、興味を持ち続ける力

習慣を身に付けるための仕組み作り例として、ワイキキ小学校での事例を紹介。

16の習慣のうち、毎月最低一つの習慣をテーマに掲げ、学校と家庭が協力して子どもに意識づけをする。たとえば、「やり抜く習慣」がテーマであれば、授業中にわからない問題に出合ったときに「あきらめないで!」と生徒同士が声を掛け合う。先生も家庭でも「やり続けよう!」「あきらめないで!」と共通の声がけをする。

 

人間の成長課題を教えてくれる「ライフサイクル理論」

人間の成長には段階的なステージがあり、それぞれのステージにおいて乗り越えるべき課題を「どう克服したか/できなかったか」が、その後の人間形成に影響を与える、という「ライフサイクル理論」(アメリカの発達心理学エリク・エリクソンが提唱)

  1. 乳児期(0歳〜2歳)課題:基本的信頼感・・・親子のスキンシップ
  2.  幼児前期(2歳〜4歳)課題:自律性・・・自分でやらせる
  3. 幼児後期(4歳〜6歳)課題:自主性・・・自発的な意欲が生まれる時期で、スポーツや音楽などに挑戦する機会を与える
  4. 児童期(6歳〜12歳)課題:勤勉性・・・自分の課題に挑戦し成し遂げることで「喜び」を見出す。勉強・スポーツ・音楽・アートなど根気強く継続させる。
  5. 青年期(12歳〜20歳)課題:アイデンティティ
  6. 成人期(就職〜結婚)課題:親密性
  7. 壮年期(子育て時期)課題:世代性
  8. 老年期(リタイア期)課題:統合性

児童期までの成長課題が克服できると、ティーンエイジャーになって「アイデンティティの確立」がスムーズにできるようになる。アイデンティティが確立すれば、自分の進むべき道を自分で見つけ、自分の目標を実現するためのスキルを身につけていく。

 

コンピュータ教育について

理想は、子ども専用のパソコンを買い、慣れさせる。

欧米の小学校では、1年生からタイピング(ブラインドタッチ)やワードなどの基本ソフトの使い方を学ぶ。2〜3年生でインターネットの利用方法、メールアカウントの作成方法を学び、パワーポイントやエクセルでプレゼン発表を指導する。高学年からは、宿題や成績の管理は全てインターネット上で行い、画像作成、音楽作成、動画作成なども体験。

プログラミング教室については、他の習い事同様に、通学前に家でコンピュータを触り、基本的な知識と技能は家庭で教えておく。

 

中学からは環境を変えることを考慮する

Get out of the comfort zone. 

常にワンランク上を目指して努力を継続できるような環境を整える。

 

 

【英語学習】「楽しい子ども英語」から多読へ

子どもの成長は早い。

いつの間にか小学生になった我が子の英語教育に本腰を入れるにあたり、色々な本を手当たり次第、読んでいる。今回は、早稲田アカデミー関連の英語塾の先生が買いた本。

我が家のように、

  1. 小学校低学年から英語教育に取り組む(幼少期の英語は身についていない)
  2. 英語を英語として理解してほしい
  3. 子どもの英検受検に興味あるが、上記2.と矛盾を起こさないか疑問がある

という方には、ヒントになりそう。

 

『楽しい「子ども英語」はなぜ身に付かないの?』

松井義明・著/ポプラ社(2018/5/22)

 

 

 

本書を読んだ感想と備忘録

1. 総評 ★★★★☆

「おわりに」まで入れても全126ページと薄く、コンパクト。手軽にさっと読める。

このうち、20ページほどが著者の所属する塾の宣伝を兼ねた内容となっているので、情報量としては、決して多くはない。しかし、すでに幼児期を過ぎた子どもの英語学習について、試行錯誤をしている身としては、励まされ、参考になった箇所もあった。

 

2. 本書を手に取った理由

息子は、手遊びや歌を楽しむというのは、とっくに卒業してしまった。英語のBGMをかけ流しすると、「日本語で考えていることが邪魔される」と言って嫌がる。そんな年齢の子どもに、どうすれば、嫌がられることなく、長続きできるように英語を教えられるか、ヒントを得たかった。

 

3. 使える英語を身につけさせるための目標

教育目標は、「たくさん聞くけど、もっともっと読む」。

最初は「英語を聞く力」を育てつつ、それを引き継ぐ形で「英語を英語で、読む力」を獲得させる。英語の本を思いっきり読める環境を用意する。

 

著者は、サイレントピリオドについても触れている。言葉を習い始めると、ひたすら言葉を頭の中に蓄積する期間が必要。赤ちゃんと同じ。それぞれのペースがあり、ある日、突然、堰を切ったように話し始める。それまではしゃべることを要求しない。無理強いしない。ひたすら待つ。

 

4. 著者のすすめる多読までのプロセス

我が家ですでに実践しているものもあるが、改めて、進め方を確認。

著者のすすめる多読に至るまでのステップは、フォニックス→音声付き絵本→多読の3ステップ。

Step 1. フォニックス

フォニックスが大事な理由は、「文字」というものは、自分で音にできるものだけが頭に入り、記憶に残るから。なので、まず音に出して読める状態を作ることが先決で、そのためのツールがフォニックス。著者の教室では『Sounds Great』(全5巻、Compass Publishing社刊)を使用している。

 

(1) それぞれの文字には音がある

英語の文字(アルファベット)は、ひらがな50音と異なり、文字の名前(エイ、ビー、スィ)とは別の音(ア、ブ、ク)を持っていることを知る必要がある。まずは26文字がスムーズに発音できることを目指す。

 

(2) 3文字単語への挑戦

母音を真ん中にして両側を子音で挟んだ単語を読めるようにする。

母音には5種類(a, i, u, e, o )しかないので、順番にパターン化して覚えていく。

目標は「すらすら読めること」なので、それまでは焦って次に行こうとしないこと。

 

(3) マジックe と4文字単語

 マジックe / サイレントe をマスターする。上記(2)と同様に、すらすら読めることを目標とする。ここまでいけば、「フォニックスの土台」が完成。英検5級の受験を考えられる。

 

(4) 子音字の連続

上記(3)まではフォニックスの「幹」で、これ以降は「枝葉」部分。bl, st, など子音の文字がつながったらどういう音になるか、をマスター。

 

(5)  母音字の連続

子音に続いて、母音の文字がつながったらどういう音か、をマスター。

同じ「oo」でも、moon(長母音)と book(短母音)がある、などの違いは一つずつマスターしていく。

 

フォニックスでの目標は、「ひらがなと同じように読める」こと。最初は意味がわからなくても、まずは読めることを目標にする。

 

意味を理解して単語を暗記することよりも、まずは「読める」ようにすることについて、著者の言葉を引用(p.56)

たとえば、「ひらがな五十音」を読めるようになったばかりのお子さんが「に・ん・げ・ん・ば・ん・じ・さ・い・お・う・が・う・ま」とゆっくり読めるとしても、「人間万事塞翁が馬」の意味がわかるはずはありません。それと同じです。慣れてきたら、意味を知りたくなるでしょう。そのために、まず、読めるようにすること。それが出発点です。

 

ある程度フォニックスを身につけて読めるようになると、ピクチャーディクショナリーを活用する。「単語を覚える」よりも、身につけたフォニックスの知識を動員し、「読める」、「音声化できる」実感と心地よさを感じさせてあげる。 具体的な進め方は「選択」と「音読」の2通り。

選択:親が単語を読み上げ、子どもにその単語を指差しさせる。

音読:親が文字(単語)を指差し、子どもに音読させる。

 

このときに、日本語の意味を知りたがれば、教えてOK。ただし、絶対にNGなのは「子どもに日本語訳を言わせる」こと。

 

Step 2. 音声付き絵本の活用

本書では、読書のスタートは Oxford Reading Tree の一押しとなっている。

10段階にレベル分けされているが、英検のレベルへの対応はおおざっぱに次の通り。

Stage 3 = 英検5級レベル

Stage 6 = 英検4級レベル

Stage 9 = 英検3級レベル

 

我が家はほかの英語絵本を持っているので、ORTを別途購入する予定はないが、書店でも確認し、よさそうな教材、という印象。

 

具体的な取り組み方として、次の6通りあるが、子どもが好きなようにすればよい。

  1. CDは聞かず黙読
  2. CDは聞かず音読
  3. CDを聞きながら黙読
  4. CDを聞きながら音読
  5. 文字は見ないで、ただCDを聞く
  6. 親が読み聞かせながら黙読

急いでレベルを上げないこと。本人が自分でステージを上げたり下げたりしながら進んでいくのに任せてOK。今の息子の日本語の読書もそう。高学年向けの本を読んだかと思えば、保育園時代の絵本を取り出して読むこともある。子どものペースで進める。

 

英語の読み聞かせは、ぜひするべき。親が自分の発音を気にする必要はない。子どもの方から”ダメ出し”を食らうまで、安心して読み聞かせをする。

 

Step 3. 多読 

ORT を使った読書が軌道に乗り、それ以外の本にも関心が出てきたら次の段階に挑戦。ここでは、本人が楽しめるレベルに応じて読書を楽しませることを心がける。

  • 同じ本ばかり読む:毎回何か新しい気づきを得ているのかもしれない
  • 簡単な本を読む:簡単な本を、速く大量に読むことで英語脳を育成している。

 

5. 英語脳が育つ英検の受け方

英検は合格が目標ではなく、子ども自身が、自分の到達度を確認して達成感を得るためのもの、と考えている。息子が英検の受験を考えるのは、まだ先だと思うので、こちらはざっと読んで飛ばした。ポイントは、無理にやらせて間違えさせても自信を失うだけなので、最初の段階ではインプットに終始すること。

 

<5〜4級> 過去問をインプット素材として活用

フォニックスを学んでいることが大前提。

5級は『Sounds Great 』Book 3 まで、4級はBook 5まで終えておく。

いきなり過去問を見ながら、最初に正解を教える。そのうえで、最初に親が数回読んであげて、その後、親子でロールプレイの要領で英文を交互に読み合う。

これを1日に3つほど、各3〜5分、合計10〜15分程度、1週間で15セット。

このとき、混乱を避けるために正解以外の選択肢については触れないでおく。

 

ほかに、「並べ替え問題はカード遊びで」、「リスニングは折れ線グラフ3本法」でという解説もある。

 

そのほかの参考情報

<英英辞書> 

Longman Dictionaries Online USA http://longmandictionariesusa.com/

Longman は非英語ネイティブ用の辞書で、定義が基本後2000語程度の語彙で説明をしている。初心者におすすめは 『Longman Study Dictionary of American English(4万6000語収録)』のオンライン版。「見出し語」だけでなく、「例文」にも音声が収録されているものは、ほとんどない。英検3級レベルまではこの辞書で間に合う。

準2級〜2級に挑戦する場合:『Dictionary of American English(10万9000語収録)』

準1級〜1級に挑戦する場合:『Advanced American Dictionary(20万5000語収録)』

 

<英和辞典>

親のツールとしての英和辞典でおすすめは『アンカーコズミカ英和辞典』(学習研究社

例文で同義語(like と be fond of、will と be going to、must と have to など)の説明がうまくなされている。

 

<多読のためのブックガイド>

英語多読完全ブックガイド [改訂第4版] 』古川昭夫ほか(著)、コスモピア刊

『ミステリではじめる英語100万語』酒井邦秀・佐藤まりあ(著)、コスモピア刊

 『ジャンル別 洋書ベスト500』渡辺由佳里(著)、コスモピア刊

 

<著者によるおすすめ英語本ブックガイド>

英検5〜4級レベルは、親子で一緒に読み、親の読書感想を語りながら「文字」と「音声」を結び付けていく。

3級レベルになると、ペーパーバックにチャレンジできる段階。

 

英検5級レベル

"Good Night, Gorilla" by Pegy Rathmann

"I Love My Daddy" by Sebastien Braun

"An Elephant & Piggie: Can I Play Too?" by Mo Willems  ★漫画チック。興味あり。

"Biscuit: Biscuit Goes to School" by Alyssa Satin Capucilli (CD付)

 

英検4級レベル

"Miss Nelson is Missing" by Harry G. Allard

"Clifford"シリーズ by Norman Bridwell

"Read Listen & Wonder" シリーズ ★動物の不思議に関する絵本。興味あり。

 

英検3級レベル

"Ricky Ricotta's Mighty Robot" シリーズ by Dav Pilkey ★冒険もの

"Nate the Great" シリーズ by Marjories Weinman Sharmat (CD付) ★ミステリー

"Rainbow Magic: Ruby the Red Fairy" by Daisy Meadows ★ファンタジー

 

英検準2級

"Magic Tree House: Dinosaurs Before Dark" by Mary Pope Osborne ★冒険もの

"Diary of a Wimpy Kid" シリーズ by Jeff Kinney ★学園もの

" The A to Z Mysteries" シリーズ The Absent Author by Ron Roy ★ミステリー

 

英検2級レベル

Roald Dahl の作品

  "Charile and the Chocolate Factory" / "Matilda" / "Fantastic Mr. Fox" / "The Witches" など

Louis Sachar の作品 

  "Holes" / "Marvin Redpost" / "Alone in His Teacher's House" など

"Percy Jackson and the Olympians" シリーズ by Rick Riordan

"The Giver" by Lois Lowry

 

まとめ

幸い、息子は大の読書好きである。だから、英語についても、単語力を鍛えて、最初は一緒に絵本を読む、ということさえやれば、そのうち、日本語の本を読み始めたときのように、自分一人で読めるようになるのではないか?それまでの頑張りだ、と思えるようになった。

 

 

【英語学習】小学校低学年からの家庭学習〜フォニックス

先の記事にも書いたように、我が家での英語学習のゆるい取り組みは、一応赤ちゃんの頃から始まった。英語CDを流し、英語絵本を家の中に置き、英語教室にもなんとなく通ってみたけど、はっきり言って身についていない。これはもう、親が覚悟を持って本腰を入れてこなかったからだ、と認めるしかない。

焦っているわけではないが、英語教育に本格的に着手するなら、子どもにまだ時間的余裕のある低学年のうちから、家庭学習を中心に組み立てよう、とコロナ休校中の4月に決意した。

子どもの性格や家庭の事情などによっても、色々なアプローチの仕方があるだろうけれど、我が家の場合について、現在進行形で時々、記録に残しておくことにした。

 

 

現時点での英語学習計画(子どもの様子を見ながら変更の余地あり)

まずは、今年度、ここまでは終了したいという計画をざっくりと立ててみた。

親が焦ると子どもは敏感に察知するのと、息子は習い事や工作、読書にもたっぷり時間を取りたいので、英語学習については毎日5分〜10分を想定。覚えたかどうかを試すテストのようなことは一切せず、ただ親子一緒に毎日の繰り返して単語を習得していく、と決めた。

  • フォニックス文字と英語の音の関係に慣れる)※ひととおり、終了
  • 参考書1冊を丸暗記 現在進行中
  • 絵本の読み聞かせ 現在進行中

 

フォニックス

保育園時代に1年半通った英語教室で、簡単な単語や挨拶の歌などはある程度覚えたていたが、教室をやめてからは結構忘れてしまった。子どもは覚えるのも早いが、忘れるのも早い。

とはいえ、英語の音を全く知らないわけではないので、家庭学習を開始するにあたり、フォニックスに短期集中で取り組んだ。

 

 【注意】英語の音に馴染みがない子が、最初からフォニックスに取り組むことについては、賛否両論があるみたい。ネットで調べてから方針を決めるとよいかも。

  

読書や工作や外遊びなど、学校から帰宅してやりたいことがたくさんある7歳男子にとって、宿題以外に「お勉強」の臭いがするものは嫌みたい。なので、我が家の場合は、鉛筆を持つワークブック形式はやらなかった。その代わり、隙間時間に気軽にできるフォニックスの有料アプリを活用。また、気が向いた時は、Youtube の無料動画も視聴した。

 

※以下の情報は、2020/7/20現在のものです。


Jolly Phonics Lessons Pro / Jolly Phonics Lessons Unlimited

f:id:perrito-blog:20200721122216p:plain

Apple Store:   Jolly Phonics Lessons Pro  610円

Google Play:   Jolly Phonics Lessons Unlimited 660円

バイスAndroid / iPhone / iPad / iPod touch 

 うちで購入した2020/3/25時点では、iOS版が1,340円だったので、大変お得になっている!

 購入前に内容を一部確認できる無料版(Jolly Phonics Lessons)もあるので、安心!

 

42の基本文字と音(6文字×7グループ)、21の同音異綴り(6音・2グループ、1音ごとに綴方は2種〜4種)、72のトリッキーワード(例外音)を覚えることができる。文字ごとに、その音が含まれるお話、発音練習、文字の書き順、単語リスト、クイズ、歌があってかなり充実している。

歌はマザーグースの替え歌となっており、聞き覚えのあるメロディーなので覚えやすい。

ちなみに、内容はテキスト教材 Jolly Phonics Pupil Book 1〜3となっている。  

 

Jolly Phonics Pupil Book 2 in Print Letters

Jolly Phonics Pupil Book 2 in Print Letters

 
Jolly Phonics Pupil Book 3 in Print Letters (Jolly Learning)

Jolly Phonics Pupil Book 3 in Print Letters (Jolly Learning)

 

 

 

 

Jolly Phonics Fun

Jolly Phonics Fun | iPhone/Androidスマホアプリ - ドットアップス(.Apps)

Apple Store: Jolly Phonics Fun  250円

Google Play:    - 

バイスiPhone / iPad

 

色々な音や文字(単語)を持った蜂が画面上を飛び回るので、音声を聞いて正しい答えを運んでいる蜂をタップ。プ不正解の多い音や言葉を優先表示させるので、遊びながら苦手な音もわかるようになる。

息子は、Jolly Phonics Lessons で文字と音の関係を学んだ後、ゲームで遊びながら復習している。

f:id:perrito-blog:20200721132521p:plain

 

 

ちなみに、Jolly Phonics はイギリス英語がベースになっている。

複数のフォニックス教材に着手するのであれば、本来は、イギリス英語かアメリカ英語のどちらかに統一すべきだろう。けれども、我が家では、次に紹介するYouTube 動画はJolly Phonics とは異なりアメリカ英語ベースだが、あまり気にせずに視聴させている。

 

  

Meet the Phonics - Letter Sounds (FREE) | Preschool Prep Company

www.youtube.com

 

YouTube で無料視聴できるフォニックスのアニメ動画。全部で41分10秒の充実ぶり。

内容は、下記のような感じ。

  1. アルファベットごとにかわいいキャラクターが登場し、それぞれに対応する音声と、それらを含む単語が出てくる。
  2. a / e/ i / o / u / y の母音に焦点を当てた歌
  3. 上記1.2.を踏まえた(基本ルールに則した)単語と短文
  4. 「Silent E サイレントE」=単語の終わりにeがつくと、そのeは発音しないで、その前の母音はアルファベットの読み方になることの紹介(plan と plane など)
  5. 上記4.を踏まえた単語と短文
  6. 「Controlling R」=ur / ir / er ではr の直前の母音を無視するという説明
  7. 上記6.を踏まえた単語と短文  
  8. フォニックスの歌

 

内容は充実しているが、たとえば上記1. のaの発音で最初に登場する単語がastronaut(宇宙飛行士)や asteroid(小惑星) というのは、ちょっとびっくり。apple から始まる日本のフォニックスに慣れているとハードル高く感じてしまう人もいるかも。

 

Preschool Prep Company のフォニックス無料動画については、他にも2本YouTubeで見られる。いずれも1時間以上。

Meet the Phonics - Digraphs (2文字が並んで1つの新しい発音を生むもの)

www.youtube.com

 

Meet the Phonics - Blends (子音が連続するもの)

www.youtube.com

 

また、Preschool Prep Company はフォニックス以外にも算数や図形など、非常に豊富な動画コンテンツを用意しているので、そちらもオススメ!

 

 

【英語学習】コンパクトなガイドブック

子どもの英語教育に、

・これから着手する家庭

・着手して間もない家庭

・ある程度経験のある家庭 

のいずれでも、参考になるガイドブックのご紹介。

 

『おうちでほぼバイリンガルの育て方』

主婦の友社)2019/12/25

 

 

今年度から、小学校での英語教科化が始まった。息子はまだ2年生だけれども、親としては、本格的に英語教育について考えなければ、と気になってきた。

 

我が家は、夫も私も海外居住経験があり、ある程度英語はできるものの、息子の英語教育については、幼少期から”熱心に”取り組んだわけではない。自分たち自身が、”熱心に”英語教育を施す親のもとで養育されたわけではなかったので、息子についても、親が率先して英語教育にどっぷり浸からせなくても、なんとなるだろう、と楽観的に考えていた。

 

一応、息子が赤ちゃんの頃から、なんとなく英語に触れる機会は作ってきた。おかげで世界には「英語」なるものが存在することは知っているが、現時点では”英語ができる子”には育っていない。そして、気がついたら、周囲には英語教室に通っているお友達が増えている、今日この頃。教育熱心なエリアに住んでいるものだから、出遅れたか???と、ちょっと焦る気持ちを抱えながら、まずは手軽そうに見えて手に取った本。

 

 

『おうちでほぼバイリンガルの育て方』を読んだ感想と備忘録

1. 総評:★★★★☆

 

「日本でバイリンガルを育てた母親」4人(廣津留真理さん、行正り香さん、喜田悦子さん、小田せつこさん)による、英語子育て経験や一般家庭でも取り入れられそうな方法を紹介した本。子育て中の多忙な母親でも手軽に取れ、気軽に読めるように、との配慮だろう。全160ページと薄い中にも、ぎゅっとコンパクトに4家庭4様の「成功メソッド」、「バイリンガル子育てお悩みQ&A」、「専門家アドバイス」が入っている。まずは、どんな方法があるか手軽にヒントを得るための本、というイメージ。

 

注意すべき点としては、全4家庭が遅くとも3歳までに英語教育を始め、うち3家庭は家庭で英語教育を本格的にやっていたこと。残り1家庭は幼少期からの英語教室通いで2回挫折をし、小学生から家庭学習に切り替えたとのこと。家庭での英語教育を進めた2家庭では、子どもが8歳までに英検準2級に合格。別の1家庭では、子どもが6歳くらいから長編映画を英語で視聴し、海外の小学校に体験入学ができるレベル。なので、小学低学年から英語教育を始める家庭においては、特に初期段階では、全てをそのまま実践するのは難しそう。子どもの様子を見ながら取捨選択する必要がある、というのが私の感想。というのも、日本語/英語という認識がまだない赤ちゃんには、英語CDかけ流しをしても嫌がられないけれど、ある程度大きくなった子どもは、嫌がる確率がとても高いから!(笑)

一方で、子どもがまだ乳幼児の家庭では、(親はそれなりに大変だろうけれど)そのまま真似できそう。

また、ある程度の年齢の子どもであれば、行正さんのアプリや、小田さんが紹介している高学年からの英語学習方法は参考になりそう。

 

2. 息子と英語学習(挫折の歴史)

息子が生まれた時、バイリンガル教育ということまでは考えていなかった。けれども、英語の音声には慣れさせたいと思っていた。赤ちゃんの頃は、家で英語のCD(マザーグース、童謡、昔話など)を流し、少し大きくなると英語動画を見せることもした(DWEは高額すぎて購入を断念)。近くにバイリンガル保育園ができたと聞くと、転園も視野に、入園説明会にも参加してみた(保育料などがあまりに高額で断念)。

 

ところが、息子が3歳くらいのある日、いつものようにBGMとして英語CDや動画を流そうとすると、「(英語で)何を言ってるかわからない動画は見ない!」、「考え事を邪魔されたくないので、英語のCDをかけないで!」と断固拒否されてしまった。なだめても、時間を置いても、頑なに拒否。仕方がないので、しばらく放っておくことにした。

 

それから1年ほど経ったあるとき(4歳6ヶ月・保育園の年中)、近所に英語教室が新しくできた。教室の前で若くてかわいいお姉さんが、風船を配りながら無料体験の案内をしていた。かわいいお姉さんが大好きな息子は、ニコニコしながら風船をもらいに行き、無料体験をしたい、と私にせがんだ(笑)。お姉さんと風船に釣られたんだな、と内心思いながらも、再び英語に触れるチャンスを逃すまい、と早速申し込んだ。

 

英語教室は外国人の先生と日本人の先生のペアで教えてくれた。1クラス5人の少人数で、教材もよくできていたが、英語で遊びながら学ぶ、という方針だったので、雰囲気は良いが、進度はとても遅かった。それなりの月謝を払いながら通うので、親としてはモヤモヤする気持ちがムクムクと湧き上がってきた頃(約1年経過)、クラスのお友達は自分以外、全員女子であることに気づき(今さら!遅っ!笑)、男子がいるクラスへ変更したがった。そこで、別のクラスに変更してみたのだが、そこでの経験が強烈すぎた。そのクラス、生徒は暴れん坊男子1人だけだが、物凄く英語教育に熱心な母親が毎回、同席してレッスンを受けていた。で、その母親がいかにもデキる人ってオーラを漂わせているのだが、いっつも怖い顔をして息子に英語で何事か注意をしているのだ。おそらくADHDか何かなのだろう、その息子。確かに落ち着きがなく、ずーーーっと動き回っていて、それに対して母親がピリピリしながら同じ教室に1時間も座っているのだから、うちの息子も怯えてすっかり英語嫌いになり、結局、小学校入学のタイミングに合わせてやめてしまった(泣)

 

本書を読み終えた後に我が家での英語教育を振り返ると、我が家では、「ほぼバイリンガル」に育てた家庭と比較して、乳幼児期に触れさせた英語の時間と量が、十分ではなかったようだ。 喜田さんは、子どもが1日平均2〜3時間、英語をBGMとしてかけ流していたというし、小田さんは、テレビや動画視聴はすべて英語に制限していたという。私の場合、心のどこかで、日本語と英語がごちゃごちゃになってどちらも中途半端になってしまわないか?という恐れを抱いていたからだと思う。しかし、日本語をおろそかにせずに接していれば、決して心配することはないのだ、というふうに思える。

  

 

3. 本書に登場する母親たち

 

廣津留真理さん:

地方公立高校から塾通いなしでハーバード大学に現役合格した娘を育てたお母さん。大分市で英語教室を開いており、<ひろつるメソッド>の考案者。

 

行正り香さん:

娘のために英語アプリ<カラオケEnglish>を開発・主宰。1日8分、声を出して英語をマスターするメソッド。料理研究家

 

喜田悦子さん:

学歴なし、お金なし、英語できない3ナイ主婦でも息子がバイリンガルに。東大に推薦合格も果たす。ベビーパーク 英語育児部門 統括責任者。

 

小田せつこさん:

動画で英語を大量インプット。娘は海外留学を経て英語教育の研究者。息子は公認会計士金城学院大学教授。

 

まとめ:我が家で参考にしたいこと(備忘録)

本書で紹介されているメソッドは、それぞれの親が自らの経験で成功した方法を導き出したもの。我が子に、そのまま当てはまるかどうかは、やってみないとわからないが、まずはこれを出発点として試行錯誤してみたい。

 

<廣津留さん>

  • 大きな声で英語絵本のなぞり読み
  • 文章を丸ごと暗記。いちいち教えない。単語を大量インプット。
  • 楽しんで覚えることを最優先。間違っても訂正しない。
  • 飽きる前にやめる

 

<行正さん>

  • 集中できる時間は8分
  • 論理的な思考ができるようになるのは小学4年生頃

 

<喜田さん>

  • オンライン英会話レッスン(1コマ25分)の活用
  • 英語絵本の多読(100万語を読めば基本語彙600〜1200レベル)

 

<小田さん>

  • 10歳以降は精聴と耳コピ発音に重点を移す
  • 「精聴」とは、英語を意識的に聴くこと
  • 耳コピ発音」とは、聴いた音をまねすること。
  • 英語教科書のCDを聴き、音読しながら発音練習。CDとハモれるくらいになれば、フレーズも構文も覚えてしまう。
  • まずは教科書1冊、と範囲を絞る。何度も聴き込んで完コピする。
  • 小学校高学年から集中的に学ばせることが、最も効率的に外国語を習得できる
  • 英語へのお金のかけ時は子育て後半戦 ←重要!!

 

さて、息子が英語教室をやめて1年以上が経過。あれから、特に意識して英語に触れることはなかったが、ロボット大好き男子、『ロボット図鑑』で紹介されているロボットが海外製ばかり(特にアメリカ)ということに気づき、そこから英語に興味を持ち始めた。

息子は、もう7歳、まだ7歳。

三度目の正直で、今度こそ、本当に英語が身に付くまで、学習を後押しするぞ。

親が覚悟を決めて、英語家庭学習に取り組むぞ!!

 

【育児書】子育てそのものが幸せ!という原点を思い出そう

『子どもが幸せになることば』
田中茂樹 (ダイヤモンド社) 2019/2/28
 
 
我が家は、いわゆる”とても”教育熱心な家庭とは言えない。根本的に、両親共に、テキトーだから、世間の”とても”教育熱心な親を見てしまうと、ちょっと引いてしまうところがある。
 
とはいえ、子どもを授かったと分かったときから、ある程度の育児書を読み、どんな子どもに育てたいか夫婦で考え話し合い(願わくば、私たち両親よりも優秀で選択肢も多くて幸せな人生を送って欲しい!)、早期教育についても、多少の情報収集をしていた。昔からある「家庭保育園」や「七田式」をはじめ、近所の乳児教室の体験にも行ってきた。でも、子育ては親の思い通りにいくものではない、ということも知っている。子どもは親とは別人格だし、一人一人、性格や個性も異なる。
 
特に最近は、書店の育児書コーナーに寄れば、「世界最高」とか「一流」とか「IQが高い」といった言葉が枕詞につく育児書のなんと多いことか!タイトルも、中身も、ビジネス書コーナーにある、自己啓発本みたい。我が子の能力を最大限伸ばしてやれる親になりたい、と思う気持ちと、息詰まる感覚とが交錯する。そんなときに、全くベクトルの異なる、安心感に包まれる育児書を読んだ。
 

 

 

『子どもが幸せになることば』を読んだ感想と備忘録

1. 総評:★★★★★

育児で行き詰まっている、という親にこそ、読んで欲しい本!!

類書はたくさんあるけれど、最も納得感のあった本のうちの1冊。

自分も、今後も、行き詰まったら手に取りたい。

新しく親になる人に、ぜひ贈りたい本。

 

 著者は、医師であり臨床心理士であり、自身も奥様と共働きで4人の育児経験がある父親。子どもが赤ん坊の時期から高校生ぐらいまで、日常でよくある29の場面での「言いがちなことば」と、親子共に幸せを感じられると著者が考える、「子どもを信じることば」を対比させて紹介している。各項目の小見出し(=言葉)だけをみると、他の育児書などでも目にしたことがあるように見える。しかし、本文を読むと、より深く具体的に著者の考えが理解でき、子どもに注がれる眼差しの温かさに心を打たれる。

 

 育児とは、子どもを”賢く”するとか、そういうゴールを目指すのではなく、親にとって「子どもと過ごすこと自体がとても幸せで贅沢なこと」であるのだ、と繰り返し述べているのが印象的。今、子どもと一緒に過ごせる時間を大切にしよう、幸せなものにしよう、との決意を新たにした。同時に、育児において焦る必要はないのだと肩の力を抜くことができた。

 

 子どもを、将来”食いっぱぐれない”(または”稼げる”または”世界に通じる(?)”など)大人に育てるには、どうすればいいか、と悶々としたり焦る時は、この本の言葉を思い出そう!と自分に言い聞かせた。

 

 

2. 手に取った理由

 育児書はこれまでも何冊か読んできたが、息子が小学生になり、学童に行きたがらない、学校に行きたがらない、など新たなフェーズに差し掛かっている。この状況に対して自分の接し方はどうだろう?今後はどうすれば良いだろう?何か参考になれば、との思いで手に取った。

 

 

3. 本書の構成

生まれたときから子どもが親元を巣立つ13歳までの各フェーズごとに出会う場面に合う言葉が紹介されている。乳幼児期の子どもを持つ親はもちろん、絶賛反抗期只中の子どもを持つ親にも、参考になると思う。

 

【第1章】0〜3歳 子どもが世界と出会う時期

【第2章】3〜5歳 「その子らしさ」が出てくる時期

【第3章】6〜8歳 学校生活が始まる時期

【第4章】9〜12歳 思春期が始まる時期

【第5章】13歳以上 親子の別れが始まる時期

 

うちの息子は7歳なので、第3章がまさにドンピシャだったが、第1章〜2章の内容も、今でも使える言葉が多かったし、第4章以降は、これから出会うであろう場面とそのときの接し方について、心の準備(?)ができたと思う。

 

4. 印象に残った言葉

 心に響く言葉をたくさん見つけた。なんとなく感じていたことを明確にしてくれた言葉。新たな気づきを与えてくれた言葉。たくさんあるけれど、特に印象に残ったものを書き出しておく。忘れかけたときに、読み直して噛み締めるために。

 

 

◎そもそも子どもは元気な存在。その元気を守ってあげるのが親。

 

子どもはもともと元気な存在です。元気であれば、「幸せになるためにどうしたらいいか」を自分で探して動き始めます。 (p.3)

 

子どもの不登校、非行、摂食障害など、表面に現れた子どもの問題は色々であっても、ほとんどの親に共通している特徴があります。それは、家庭での子どもとのコミュニケーションが「操作的な会話(=歯磨きや宿題など動作を指示したり確認する声掛け)」がほとんどであり、「交流的な会話(=思いや考えを伝え合う声掛け)」がほとんどないということです。(中略)操作的な会話を控え、子どもが家でリラックスできるようにする、それを徹底する。それだけで子どもの様子は変わるのです。(p.142-143)
 

 

◎育児はほんの短い間のこと。幸せで贅沢な時間。

 

育児はそれ自体が目的であり、手段ではないということ。子どもと過ごすこと自体が、とても贅沢で幸せなことであること。 (p.4)

 

まだ子育て途上ではあるけれど、全く共感できる。乳幼児を見かけるたびに、息子と一日中、一緒に過ごせた時間はあっという間に過ぎていったな、と少し感傷に耽ってしまう。子どもをどう育てたい、という話の前に、今一緒にいる時間の幸福を心の底から味わおう。

 

「子どもをいかに良く成長させるか?」とか「そのために、親はどうしなければいけないか?」など、そういう姿勢ではなくて、「子どもに起こる成長や、子どもが自分で達成してくことを楽しみに待つ」という姿勢を意識できれば、育児の期間のしんどさを減らすだけでなく、喜びを増やせる。(p.30)

 

書店に行けば、「世界最高の」とか「一流の」といった言葉が枕詞についた育児書の、なんと多いことか!そんな言葉に踊らされ、焦ってはいけない!

 

 

◎良かれと思って言ってしまう言葉に注意

「言いがちなことば」は、子どものためを思って言ってしまいがちだけど、実は親が目先の安心を得ようとしていて、子どもの元気を奪う言葉です。(p.4)

 

思い当たるフシあり。言葉を発する前にひと呼吸置こう。

 

褒める、ということに、問題がある場合があります。それは、「褒める」と「アドバイスする」のは似ているからだと思います。褒めるとは「評価する」ことです。「それはいいね」は「それじゃないのはよくないよ」と言うのとある意味で同じです。(後略)
繊細だったり、大人の顔色を伺う傾向のある子ほど、褒められることばかりをやろうとしてしまう傾向があります。
そのような場合の問題点は、本当に自分がしたいことと、親に褒められるからすることの境目が曖昧になることです。(p.80)

 

私自身、褒められたい、認められたい、という気持ちが強かったように思う。そして、本当は自分は何をしたいのか、わからずにいたし、今もいるように思う。

 

子どもは、わざわざ褒められなくても、自分が達成したことに満足かどうかは、自分で味わっているのです。(p.81)

 

子どもは親のことが好きだから、親を喜ばせたいと思うでしょう。親の思いを果たそうと、子どもは背負い込むかもしれません。子どもの健気さは、大人の想像を超えていることがよくあります。「好きにしたらいいのよ」とか「楽しく生きてくれたらそれでいい」という「願い」も、「要求」となって、子どもに捉えられる可能性があると思います。真面目な子やがんばり屋の子どもほど、どこまでもがんばろうとするでしょう。
「そのままがいい」「そのままで大好きだ」など、そのままの子供を受け入れるような言葉がいいと思います。(p.197-199)

 

これは難しい。失われた時間は取り戻せないからこそ、「人生の先輩」として、親の失敗や経験をもとにした早めのアドバイスに意味があると思うこともある。押しつけや強要ではないように受け取ってもらうためには、どのような言葉がけが有効なのだろう?

 

子どもが自分で選んで、自分で楽しんだり苦労したりして、親以外の人や出来事から学んでいくことの大切さ、そのような子どもの経験へのリスペクトをしっかりもちましょう。(中略)子どものためにと「正しい」アドバイスをして嫌われるより、子どもが、親から見れば「正しくない」「未熟な」選択をするのを、勇気を持って見守る。親は、自分の「正しさ」に注意が必要だと思います。正しさを押し付けることが、いつも子どものためになるわけではない、ということに。(p.209-210)

 

◎親から見れば理不尽な要求をしている場面について

わざと親を困らせようとしてわがままを言っているのではなくて、世界が、現実が自分の思い通りにならないつらさを、一つひとつ学んでいる途中です。(p.52)

 

これは、昔の自分に教えてあげたい言葉。

 

泣き叫んでいる子どもと向き合って、自分が怒りでいっぱいになっていると、なかなか切り替えられません。(中略)
そんなとき、大人は、がんばれば、気持ちを切り替えられます。
でも、それは子どもにはできないことなのです。
だからこそ、「ああ、この子は思い通りにならない現実を学んでいるんだなぁ」と愛おしみながら向き合うのです。(p.53)

 

◎指しゃぶりや爪噛みなど、子どもの「問題行動」について 
目に見える「子どもの問題」を、すぐに取り去らないといけないやっかいなものと思わないこと。代わりに、この「問題」はこの子が一生懸命あみだした大切な対処法なのかもしれないと思って向き合うこと。たとえば、だらけているだけ、さぼっているだけに見えたとしても、そのような方法で「NO」を伝えようとしているのかもしれません。(中略)「この行動は、この子にとって何か意味があるのかもしれない」と、いつもどこかで思っておいた方がいいと言いたいのです。(p.87)

 

◎学校に行き渋りをする子について
子どもが「行きたくない」と行っている場合には、エネルギーはそれほど失われていないか、もしくは親に対して「しんどい」と正直な気持ちを話せる関係性があると推測される。ある意味、子どもが親の力を信頼している状態。(後略)
子どもが「行きたいのに、起きられない」と言っている場合は、すでに子どもはかなり長期間がんばっていて心身ともに疲れ切ってしまっているケースもある。(後略)
原因が何であれ、親にできることは、家で安心して過ごさせること。(中略)正直な気持ちを親に話せることや、安心できる場所でリラックスして過ごすことで、子どもは元気を回復します。そうすれば、子どもは自分から動き始めるのです。(p.100-102)

 

まとめ(本書から学んだこと)

 

★育児そのものが絶対的な幸せである、という原点を忘れない。

 

★子どもを元気な状態にしておけば、あとは自分で道を探っていける。そう信じること。

 

★「母親は、子どもに去られるためにそこにいなければならない」

             ー エルナ・フルマン(心理学者)の論文タイトル

子どもは、自分のタイミングで自分なりのスタイルで、親から独立していく。

「そこにいる」というのは、子どもの選択を見守り、必要な時はいつでも安全な場所に戻れることを保証する態度。

 

 

<紹介された本で、読んでみたいもの>

 

『子どもの宇宙』(河合隼雄・著/岩波新書

『魔法のしつけ』(長谷川博一・著/PHP研究所

『トラウマ返し』(小野修・著/黎明書房

『子どもと生きる・あまえ子育てのすすめ』(澤田敬・著/童話館出版)

『小児科医のぼくが伝えたい 最高の子育て』(高橋孝雄・著/マガジンハウス)

【家庭教育】「ひろつるメソッド」から学ぶ

 ちょっと前から気になっていた「ひろつるメソッド」。

 「娘が地方公立高校から塾なしでハーバードに現役合格」なんてキャッチフレーズ、敷居が高いというか、世界が違いすぎるというか、とにかく、とっつきづらいイメージがあって、なんとなく敬遠してきた。

 けれど、息子の英語家庭教育について真剣に考えはじめた時に手に取った『おうちでほぼバイリンガルの育て方』で、ひろつるメソッドの概要を知り、英語教育の側面だけでなく、廣津留家の教育観をもうちょっと知りたくなった。というのも、世代が違うとはいえ、私自身、高校まで地方公立学校で過ごし、大学受験や将来のキャリアイメージについて、かなり狭い範囲でしか情報を持っていなかったことを後から知ったからだ。

 都市部と地方の情報格差は大きい。インターネットで世界に直接つながれるようになった今でも、日常生活の中で五感からインプットされる情報の差は大きいと思う。どのような環境で育てたら、地方在住の子どもが、世界どころかハーバードという世界トップクラスを目指そう、という意識になれたのか、純粋に好奇心から知りたくなったのだ。

 ひろつるメソッドの英語教育法については、別の記事で書いてみようと思う。今回は家庭教育の考え方について。

 

 

 

 『世界に通用する一流の育て方』を読んだ感想と備忘録

早速、地元の図書館にあった廣津留真理さん著作を借りて読んでみた。

 

 

私自身、子供を授かった時にはある程度教育本を読んだものの、200冊もの教育本を読破したという廣津留さんは、やはりタダモノではない。カナダのギフテッド教育を世に知らしめた大川翔くんの母親を想起させる。

この本の中で、共感し、自分で改めて噛みしめたい言葉、学びや気づきにつながった箇所をピックアップする。

 

1. 「親が積極的に子どもの勉強にコミット」

 第1章に登場する言葉。これはもちろん、我が子の教育に熱心な親は当然のこととしていると思う。私自身も、息子を産んでから、そのつもりでやってきた。しかし、覚悟の決め方が甘かったかもしれない、と思った。そう思わされた言葉が「義務教育は学校に外注、それ以外は家庭学習」という廣津留家の方針。学校だけでなく、良かれと思って通わせていた英語教室、本当は自分が手抜きをしたくて、あるいは安心感だけのためだったのではないか?息子が取り組んでいる通信教育も、親である自分が、自身の目で問題集などを吟味・選択する時間と手間を惜しんでいるだけではないのか?家庭(親)が主体性を持って進めるのだ、という覚悟を再確認させられた。

 この言葉は、第4章の「ひろつる式<非常識>受験メソッド」にもつながる。

 

2. 子どもは「未来から来た人」と思えば腹も立たない

 子どもが幼くてワガママなどで号泣された時、田中茂樹さんの『子どもが幸せになることば』に出てきた言葉(子どもは「現実が自分の思い通りにならないつらさを一つひとつ学んでいる」 ※本の感想はこちら)を思い出すようにしている。それに通ずる考え方だと思う。未来人である子どもの考え方や行動を、旧人類である自分の物差しで一方的に測ってはいけない。何かをした、あるいはしなかった時、その理由を冷静に尋ねる。学習面であれば、子どものやる気が下がっているのは親の方に原因があるのかも。褒め方が足りないのか?子どもに押し付けていないだろうか?

 

www.perrito-blog.com

 

3. 小学生からの生活習慣で取り入れたいこと

  • To Doリストを自分で作ってマネジメントさせる。

  息子は小1から親が言うまでもなく、ダイソーでホワイトボードを買ってきてやり始めた。終わったことにチェックをつけるのは楽しいらしい。2年に上がってからやっていなかったので、復活をさせよう。

  • 学校の勉強は平日だけ、週末は課外活動

  意識してはいたけれど、コロナが始まってからは外出をどうしても控えがちだし、イベント自体も減っている。「ウィズ・コロナ」でもできることを探そう。

  • 親が読まないような本を子どもに読ませない 

  これは、肝に銘じないと!親は「ためになるから」と自分では読まないような本を押し付けてしまいがちだが、子どもは一人の人格。本人が興味なければ読まない

 

4. 【重要】子どもの不調を招く3つのサイン ※以下は全て引用

 (1) 前もって失敗の言い訳をつくる(セルフ・ハンディキャップ)

 テスト、スポーツ大会、各種コンクール前には、子どもは強いストレスにさらされる。ストレス耐性が低い子は、無意識のうちに失敗する方向へ自ら転んでしまう。そして、前もって失敗の言い訳をして予防線を張ってしまう。<怖い理由>前もって失敗の言い訳をし、意図せずとも、本人の言い訳通りに失敗する経験が続くと、全般的な意欲低下につながる。<予防法>平常心で臨めるようにするには、普段からの親の”褒めパワー”が有効。”小さな勝ち癖”が身につき、それが自信と平常心につながる。

 

 (2) 課題の先延ばし(プロクラスティネーション)

  やるべきことがあるにもかかわらず「あとでやろう」とすること。単なるダラダラとは本質的に違う。<怖い理由>先延ばしにする課題がいくら増えても怖くなくなる”先延ばし癖”がつくと、「いずれやる」「やればできる」と言い訳ばかりでいつまでなっても何もやらない子どもになる。また、「あれもやってない」「これもやってない」というストレスが澱のように溜まってしまう。「やらないからできない」に変わってしまう。<予防法>先延ばしの理由を親が察知して支援する。理由a.課題をこなす能力がないと恐れいている=とりあえずやってみて、課題解決のために必要な能力がどのくらいあるかチェック。あまりに不足している場合は、身の丈に合った課題から始める。理由b.ストレス耐性が低い=親の”褒めパワー”で自己効力感を高める。理由c.時間管理能力が低い=ToDoリストを活用する。子どもの調子の良い時間帯を見つけて、そこで集中的に課題解決に取り組む。

 

 (3)肉体的に具合の悪いところがある

専門医にかかる。また、最初のサイン(1)「前もって失敗の言い訳をつくる」ために不調を装っていると、風邪を引いていないのに熱っぽくなることもある。

 

 

5. ひろつる式<非常識>受験メソッド 

廣津留さんいわく、「ドラスティックなことをしない限り、時代遅れの学校教育の悪癖から子どもは守れない」とのこと。教育本に限らず、ビジネス書や社会科学の本、哲学書まで様々な情報に触れ、激動の時代を生きる子どもには新しい教育アプローチが必要だと考える親には、参考になる考え方もあると思う。

 

(1) 模試を受けない

学力テストは絶対評価ではなく「相対評価」であることに注意。ごく普通の生徒たちは同じ集団にライバルがひしめいているため、常に不合格の不安にさらされている。その不安を煽るためにあるのが模試、という廣津留さんの解釈。「我が子が『ごく普通の生徒』という母集団から一刻も早く抜け出られるように、その競争事態から降りることも選択肢に入れるべき」という言葉には全くの同感しかない。強烈な世界観や独特の価値観を持つ子になれるように、可能な限り早い段階から背中を押してあげる。それこそ、我が家でも実践したいこと。しかし、「非常識な道」を進むのは、勇気がいる。目の前の子どもと向き合い、しっかりした方向性を持たないと、危なっかしいようにも思える。もがきながらも、この道を行きたい。

 

(2)学年1番にならない

自分で言うのもなんだけど、私自身は、中学から高校まで、学年1番を目指し、実現してきた子どもだった。当時は、自分の住んでいたド田舎から一刻も早く抜け出したい、親が納得してくれる脱出方法は首都圏の偏差値の高い大学に進学すること、というそれだけが支えとなっていた。だから、自分の身に染み付いたこの考え方から脱却するのは意識しないと難しい、と自分に言い聞かせている。学年1番にこだわると、かなりの時間を全ての科目の勉強に注がなけれなならない。限られた時間と体力を、本人の得意な分野に注がせたい。

 

(3) 塾に通わない

私も夫も、学習塾に通わずに過ごしてきたので、これはすんなり受け入れられる。ただ、今住んでいるエリアが教育熱心な学区のため、中学受験などの情報も耳に入ってくる。一時期は「中学受験した方がいいのかな?」「それなら、塾通いは必要かな?」との思いがかすめたこともあった。でも、学校の勉強の補習が目的ではなく、「塾=親にはできない、”圧倒的に得意な科目”にするための場所」ということであれば、通う意味があるな、と頭の整理がついた。

 

(4) 苦手科目は捨てる

考え方に注意が必要。平均的に全教科がまんべんなくできる、というのは学校の外に出てしまうと、あまり意味がない。圧倒的に得意な科目に力を注ぐ、そのための苦手科目は捨てる、という解釈。

 

(5) 宿題の答えは丸写し

カンニングという意味では、もちろん、ない。これを適用させるのは、正解があらかじめ決まっている「選択問題」であれば、という条件がつく。答えを丸写ししながら丸暗記することによって、問題を解くのにかかる時間を節約し、理解を優先した学習ができる。宿題の拒否は社会のルールに反するので、提出はするけれど、宿題の本来の目的である「学習」はする、という解釈。

 

6. ハーバード大学にまつわるあれこれ

(1) お嬢さんがハーバード受験を思い立つまで

 私が一番好奇心をそそられた、そもそも、なぜお嬢さん(すみれさん)がハーバード大学を目指すことになったのか、そのきっかけは本書の第9章に書かれている。 廣津留さんは、すみれさんが幼い頃から大学受験をゴールとした家庭教育をしていなかったとのこと。そのため、高校生になっても志望校は特になく、塾通いを一度もしていないので日本の各大学の偏差値も知らず、大学名を口にすることもなかった、とある。

 まず、このこと自体が驚きである。「我が子は大学受験に囚われることなく、自由にのびのびと自分の好きなことに没頭して、才能を伸ばして欲しい」と思っていても、自分の受けてきた偏差値重視教育から、親自らが真に脱却することは本当に難しい。

 すみれさんに転機が訪れたのは、イタリアの音楽コンクールにチャレンジして優勝したとき。そこで得た奨学金で、高2のときに全米バイオリン演奏ツアーを行う。そして、ツアー後に「せっかくだから」という軽い気持ちでプリンストン大学ハーバード大学を見学。この機会を最大限に活用するため、学生が案内してくれるツアーに参加。プリンストン大学の見学では大人しかったすみれさんが、ハーバード大学ではものすごく嬉しそうにしていた。案内してくれた学生と、あれこれ話し込んで生き生きとしていた。そして、帰国後は自分でハーバード大学のホームページをチェックして、自分で入試情報を集めるようになっていた。

 「調べてみると、ハーバード受験のハードルは高くない。必要な条件を満たせば、ネット経由で日本にいながら受験できる」とのことからチャレンジを決意。

と描写されている。

 

 世間一般では、大学受験に備えた冬季講習でおおわらわの高2冬休み中、受験をまだ考えていないすみれさんは、母親との散歩中にふと、「ハーバードに行こうかな」と言い出した、って。。。かっこよすぎる。ハーバードを幼少期から目指して「受験対策」をしたわけでもないのに、それまでに身に付けていた「絶対的」な能力・スキルが発揮されて掴み取った合格、ということだろう。目の前の「受験」に振り回されることなく、本質とは何かを考え続け、ブレずにやっていれば、こういうことも実現できるのだ、と勇気をもらったような気がする。また、実際に大学キャンパスに出向き、そこの学生たちと直接触れ合う機会を持つことの意義の大きさにハッとさせられる。と同時に、直接コミュニケーションを取れるだけの英語力が備わっていてこその機会、とも言える。やはり、視野を広く持ち、目の前にチャンスが来たら掴むためにも、英語は必須だな!と再確認。

(2) ハーバード大学受験に必要なこと

学業優秀であることはもちろんだけれど、特に重要で日本ではあまり意識することの無いもの。それは「課外活動の成果」と「エッセイ(小論文)」。

<課外活動>勉強以外の課外活動を重視するハーバードでは、ポートフォリオの提出を認めている(すみれさんはバイオリンの演奏をCDに収めて提出)。ただし、大学院の教授がポートフォリオを判定するため、「価値が低いとみなされた作品は減点対象となるので、無理に送らない方が無難」との警告があるそうだ。

<エッセイ>すみれさんは、アマゾンでハーバード生が書いたエッセイ選集を買って、エッセイの書き方を研究し、自分なりに自分の人生を振り返ってエッセイを仕上げたとのこと。その本によると、大学入試のエッセイは「困難克服系」「誰にも真似できない経験系」「日常を切り取っていきいきと綴る文学系」「他者を通して自分を見つめ直すストーリー系」の4パターン。

 

(3) ハーバード生の教え(いくつかピックアップ)
  • 締め切りギリギリに片付ける:膨大なタスクを抱える人たちの時間管理術
  • コミュニケーションは短く端的、スピーディー
  • 5分で80%を完成させ、それをベースに話し合いながら修正を重ねる

 

 まとめ:『世界に通用する一流の育て方』から学んだこと

本書を手に取ったきっかけ「どうして地方在住で公立学校の子がハーバード大学を受けようなどと思うに至ったか?」という疑問への答えは、

  • 「日本の大学受験」に照準を合わせず、独自の信念に基づいた家庭教育
  • 将来、選択肢を多く持てるようにとの考えで、幼少期から親が英語を教えたこと
  • 得意なバイオリンがきっかけで、世界を知る機会を持っていたこと
  • ハーバード大学のキャンパスツアーで、案内役の学生と直接英語で交流したこと

 結果的に、昔からハーバードを狙って対策を立てたわけでもないのに、導かれるようにハーバード大学を受けようと思った、ということらしい。

 

 言われてみれば、スッと筋の通る話。とはいえ、やはり、バイオリンに熱中し没頭し上達できるだけの才能を持ち合わせていたこと、親もそれを惜しみなく支援できた環境にあったことなどを考えると、どの家庭でもできることではないだろう。

 

 それでも、私にとって、この本は非常に参考になった。今まで、モヤモヤしながら考えていたことが、多少ドラスティックな表現も含めてバチッと書かれていたので、スッキリ!というのが私の感想。